ラテン文字


ラテン文字(ラテンもじ、英語 Latin, Latin alphabet)は、ラテンアルファベットローマ文字ローマ字Roman alphabet)とも言い、表音文字の1つである。これを並べることで単語を表記し、単語を区切って並べることで文章を構成する。

元来ラテン語の文字で、古くから西欧中欧の諸言語(英語スペイン語ポルトガル語フランス語ドイツ語イタリア語ポーランド語など)で使われているが、近代以降はこれら以外にも使用言語が多い。

ラテン文字はアルファベットの一種なので、ラテン文字を「アルファベット」と呼ぶこと自体は間違いではないが、アルファベットはギリシア文字キリール文字なども含む総称である。

ローマ字」はラテン文字の別名だが、日本語を表記したときに限定して使うことがある。

英語の表記に使ったときに限り、「英字」と呼び、特に「英字新聞」という語でよく使われる。ただし、他の言語に対し同様の表現(仏字など)が使われることはまれである。

使用言語

本来は、ラテン語のための文字である。

中世以降は、俗ラテン語に由来するロマンス諸語スペイン語ポルトガル語フランス語イタリア語ルーマニア語など)のみならず、西欧中欧西方教会カトリックプロテスタント)地域のほぼ全ての言語で使われる。ゲルマン語派英語ドイツ語オランダ語デンマーク語スウェーデン語ノルウェー語アイスランド語など)、スラヴ語派の一部(ポーランド語チェコ語スロヴァキア語スロヴェニア語クロアチア語など)、バルト語派ラトヴィア語リトアニア語)、ケルト語派アイルランド語など)、バスク語ウラル語族の一部(マジャール語スオミ語エストニア語など)などある。東方教会地域でも、すでに述べたルーマニア語や、アルバニア語で使われる。

近代以降、文字を持たない言語が新たに正書法を定める場合、ほとんどの場合ラテン文字が採用された。すでに文字を持っていたのにラテン文字に切り替えられた言語もある。これは、西洋列強による植民地化や、カトリック・プロテスタントの宣教師の活動によるものが大きい。ただし、旧ソ連キリル文字)、日本カタカナ)など、いくつかの例外もある。

近代以降にラテン文字化された言語には、インドネシア語ジャウィ文字)、ベトナム語漢字チュノム)、トルコ語アラビア文字)、タガログ語(アラビア文字・アリバタ)、マレー語(ジャウィ文字)、スワヒリ語(アラビア文字)、アゼルバイジャン語(アラビア文字→キリル文字)、ウズベク語(アラビア文字→キリル文字)、トルクメン語(アラビア文字→キリル文字)などがある(カッコ内はラテン文字化以前の文字)。

成立

イタリア半島に、ラテン人と呼ばれる部族 (後にローマ人と呼ばれるようになる) が棲みついていた。5世紀頃、ラテン人はやはりこの地に棲みついていたエトルリア人 (紀元前1千年紀イタリア中部に棲みついた) と西ギリシア人から文字を採り入れた。このふたつの種族から文字を採り入れる際に、ラテン人は西ギリシア型アルファベット()のうち4字を捨てた。また、エトルリア文字F (w と発音する) を採り入れて 'f' の音に使い、エトルリア文字の S (3箇所の屈曲がある) を採り入れて、現在の S の形にした。ギリシア語のG音とエトルリア語のK音を表すのにはガンマを用いた。こうして生まれたものは、GJUWYZ がないなど、現代のラテン文字とは多少の違いがある(外部リンク)

ローマ人のアルファベットでは、CKQ のいずれでも k 音を表記できた。C は 'g' 音の表記にもなった。ローマ人は G を作りだし、どういうわけかこれを文字表の FH の間に置いた。数世紀を経て、紀元前3世紀アレキサンダー大王が地中海沿岸地域東部とその周辺を征服した後、ローマ人はギリシア語の語彙を借用するようになり、アルファベットをこれらの語彙の表記に再適合させる必要に迫られた。そこで、東ギリシア型アルファベット()から YZ を借用し、今度は文字表の最後に置いた。この2字はギリシア語彙を表記するときしか使わなかったためである(外部リンク)

アングロサクソン語は、11世紀ブリテンノルマンの征服を受けた後、ラテン文字でも表記されるようになった。'w'音を表すのに当初ルーン文字ウィン が使われたが、p に似ていた (p より幅が狭く角ばっていた) ために実際の p と混同されやすく、'w' 音は u ふたつで表記されるようになった。この頃の u は v のような形状だったので、ふたつの u はふたつの v のように見え、WV の次に置かれた。さらに、丸みのある U で母音を表し、子音のときは V を用いるようになるとU が生まれた。J は当初 I の異体で、I が複数並ぶときに最後の I に長い尾をつけたものだった。15世紀頃から、J を子音に、I を母音に用いるようになり、17世紀半ばにはこれが一般的になった(外部リンク)

ラテン文字基本26字の一覧(大文字/小文字)

英語は、基本26字のすべてを使い、またそのほかの文字や記号を付した文字を(外来語をのぞき)使わない言語である。

A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V W X Y Z
a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z

上記に加えて使われる文字の例

アキュート
アクセント
グレイヴ
アクセント
サーカム
フレックス
ウムラウト/トレマ
ÁÉÍÓÚÝÀÈÌÒÙÂÊÎÔÛ ÄËÏÖÜŸ
áéíóúýàèìòùâêîôû äëïöüÿ
セディーユ ティルデ オゴネク 合字 ルーン文字
ÇŞ ÃÕÑ ĄĘĮŲ ÆŒØIJ Þ
çş ãõñ ąęįų æœøijß Þ
ウムラウトセディーユなどは詳しくはダイアクリティカルマークを参照のこと
各国での利用状況を含めた全ての文字の一覧はラテン文字一覧を参照のこと

ラテン文字とともに使われる記号の例

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